2005年07月04日

第7講 戦略を策定・実行するための条件                                        §7−1 戦略を創造できるスキルがあるのか

05aefe3f.JPG構造変化が進行している市場の中で、企業の優劣は戦略の質の差によることは明白であろう。つまり、競合他社よりも質の高い戦略を創造できるかどうかが企業の盛衰を握るといってもいいのです。「質の高い戦略を創造できるスキルがわが社にあるのか?」という問題が浮かび上がります。特に、「企業・事業構造改革プロジェクト」をおこなっている、或はおこなっていく企業に、そのスキルが存在するのかどうかという問題です。

質の高い戦略を創造していくに当たってのスキルとしては、大きく二つのものがあります。一つは、われわれコンサルタントが指導することで身につけることのできるスキルがあります。ある程度の理解力と時間があれば内容のよい経営書を熟読することでも身につけることができるでしょう。このときには、いかに良書を選択するかが大切なことです。今ひとつは、われわれコンサルタントがいくら頑張っても身につけることのできないスキルがあります。

売上高30億円前後の中規模企業の場合、二つとも「存在しない?」という状態です。中規模企業の場合は、基本的に“少数主義(少数精鋭とはいえないが)”でないと成長発展は難しいことです。それゆえ、ある意味では現場主義に徹しております。この現場主義は狭い意味の現場主義ということです。自分に与えられた現場だけを一生懸命やるという意味ですね。周りを見回している余裕が無いのです。中規模企業だけのコンサルタントに絞り込んでいる私の場合は、この「存在しない」状態からスタートすることなのです。そこではまず最初の指導によって身につけることのできるスキルから入らざるをえません。

経営するということはどういうことなのか?経営は、今やっている仕事と何が違うのか?戦略とは何か?戦略でないものは何か?なぜ戦略が必要なのか?事業とは何か?事業を発展させるための必要にして十分な条件とは何か?PDCAを回すということはどういうことか?目標管理とは何か?仮説検証とはどういうことか?などなど、「要するにこういうことですね!」ということを理解することである程度のレベルまで到達できるものです。もちろんこれらは活用することで効用が発揮できるものですが、とりあえず知識として身につけておいて貰わなければならないものです。

実際の指導現場ではどういうことが起こっているのだろうか?これらの指導によって身につけることが容易なスキルを、ハード系のスキルと呼ぶとするならば、このハード系スキルをじっくりと講義していくわけです。「皆さんよくわかりましたか?」、「・・・・・?!?」、「理解できなかった人はいますか?」、「・・・・・」、「皆さんよく理解できたとして前に進みます」を繰り返していくわけですね。要するに“わかったようなわらないような状態”が続くのです。数ヶ月経って、「これは2ヶ月前に皆さんが学んだことですが○○さん、皆さんに説明してもらえますか?」という質問をしばしば行ないます。つまり、できるだけ皆さんの前で説明してもらうのです。

多くの企業で、人材育成のために“インプット”を行なってきたのではないでしょうか。しかし、期待したほどの成果が出ていないことはほとんどの企業で体験していることですね。私は、インプットではなく、“アウトプット”こそが人材育成に役立つとの信念を持っております。つまり、何かのテーマについて1時間講義させたり、商品の説明を1時間やらせたり、などなどをさせることこそが大事である思っております。それによって、彼らは必死に勉強するようになります。今後は、アウトプットを主体に人材育成を行なっていくことを提案いたします。

そのようなアウトプット主体の講義をして行くのですが、実は、実は、その説明がほとんどできないのですよ!?「あれ?皆さん理解したといっていたのではないですか?」実際の私の体験では、100の内理解できたのは20くらいですね。わからないが、わからないといわない。質問もしない。こういう状態が続くわけです。それがわかりながらも、ドンドン講義は続けていきます。そのうち、自分で色々勉強する人が出てくるのですね。「よい経営書を教えてもらえませんか?」と。うれしいですね。こういう人が一人出てくると、それが二人になり、三人になりとなっていくのです。

更に問題は、ソフト系のスキルです。これこそが中規模企業の成長発展を左右するスキルなんです。大きく三層構造になっていると思われます。ベースには、意志というか、しっかりとした志というかそういうものがあるかどうかです。次に考えられるのが、本質を読み取る能力や時代の流れを読み取る能力です。最後に、リ−ダ−シップという統率力ですね。このようなソフト系のスキルが“質の高い戦略の創造”に必要なのですね。

従来の業界の中で、業界の常識をフレームワークに、そこで何とかシェアを伸ばそうというのは、“質の高い戦略”とは言いません。もちろん企業を支えていく基礎力としては必要なものですが、それでは大きく企業変身を成し遂げて、顧客の進化していくニーズを解決して感動を共有することはできません。
従来型の同質的な戦略の中で競争する能力は、先ほどのハード系スキルによってある程度対応が可能です。

しかし、“質の高い戦略の創造”には、ソフト系のスキルがなければ極めて困難なことです。特に、強い意志と洞察力に基づいた“将来の構想”が、その後の戦略の質を大きく左右します。つまり、構想がつまらないと、戦略だってたいしたものにはなりません。だって、その戦略で折角築き上げたものが“つまらない構想”だからですよね。ギャベージイン、ギャベージアウトという言葉がありますが、それですよね。

成長発展を強く望む中規模企業としては、「それではあきらめるか?」というわけにはいきません。「なんとしてでもやろうよ!」「なんとしてでもすばらしいわが社を構築しようよ?」という情熱である程度カバーできます。強い情熱があれば、将来への構想が見えてくるのではないでしょうか。しかし、情熱をもって仕事に立ち向かうことのできる人がほとんどいないですね。それでもやらざるを得ません。やっていることが、やる気のある人を生み出す術ですから。



  
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2005年06月24日

§6−2 実際の実行は年度経営計画で行なうことになるが?

40c85405.JPG「よしこれでいこう」というビジョンを描き、そのビジョンをなんとしてでも実現するためには、「どうしてもこれを解決しなければならない!」という課題を戦略課題として明確にする。そして、ビジョンを実現する戦略課題を「戦略マップ」としてストーリーにして表現することが大切であることを述べてきました。

ところで、「この戦略は理論的ではないか?」という疑問を時折発する社長がおられます。戦略は、当然“実現性”ということを視野に入れながら検討していくのですが、あまり実現の可能性を強く押し出すとありきたりの戦略しか生まれてこないということがいえます。「なんだこれでは、いつもやっていることの強化に過ぎないではないか?」ということになり、戦略でもなんでもないものが出来上がるのです。従って、戦略を創造するためには、できるだけロジカルシンキングで考えた方がいいのです。さらに、ロジカルシンキングを超える“洞察力”があれば理想的ですね。これによってロジカルシンキングの壁を越えてよりクリエイテイブな戦略ができるのですが。戦略の実現性については、BSC及び戦略課題の具体化計画のときにしっかりと考えることがいいのです。

さて、戦略マップは、例えば3年先のビジョンを実現するための事業戦略をわかりやすく描くことになりますので、当然それは3年後の姿を実現させている戦略が描かれているわけです。それゆえ、これを2年目はどうなっているのか、1年目はどうなっているのか、とブレークダウンしなければなりません。
従来の現状から将来を考えるのとは対照的に、将来から現状を考えるという発想が根底にあります。いわゆる“演繹的に発想する”ということです。これも口で言うのは簡単なのですが、実際にプロジェクトメンバーは四苦八苦します。これは、「習うより慣れろ!」しかありません。

さて、その1年目の戦略を年度経営計画に落とし込むことになりますが、その年度経営計画に大変多くの問題があるのです。年度経営計画は、基本的に「今できること」を行なって最大限の業績を達成することになるのですが、そこではきめ細かな市場の読みと打ち手が必要となります。つまり、多くの年度経営計画は、市場や競合他社や自社という、いわゆる3Cの視点で見つめることがほとんど行なわれていないのです。しかも、最も大事なのは目標設定だと私は思っておりますが、この目標設定が非常に安易に行なわれすぎています。

つまり、苦労しつつビジョンや戦略を検討してきたのですが、それが年度経営計画の段階で生かされないという、アホみたいなことが起こっているオです。これは年度経営計画、あれは戦略と分けてしまっていいるのです。年度経営計画は、ビジョンを実現するための第一年目という位置づけにあることを忘れてしまうのです。なぜこういうことが起こるのかということですね。

常にいうことなのですが、企業・事業を経営する原点は、“夢”や“高い志”だということですが、これが言うほど簡単ではないということです。確かに、ビジョンや戦略を考えて、又考えてとやるのですが、それは“腹の底”から出てきたものではなく、理屈で綴っていくということが起こっているのです。そのため、年度経営計画の段階では、そのことが忘れ去られてしまうということだと思います。

結果として、年度経営計画は、目標は前年対比10%アップ(前年対比3%アップよりは評価できます。しかし、ビジョンで掲げた3年後の目標値を達成するためには年率25%くらい成長しないとダメなのですが)、それを従来どおりの総花的な打ち手を並べてやろうというのです。打ち手と目標が因果関係で結ぶことができないためにPDCAが回らないのです。毎月毎月、PDCAを行なうための会議が開かれるのですが、現実には回っていないのです。そこで何がチェックされているかというと、売上はどうだ?という数値だけですね。そうではなく、「こうしたらこうなるはずだ」という仮説をこそチェックして、場合によっては軌道修正が必要なのかどうかを吟味することなのですね。

年度経営計画は、以上のように二つの業務が並行して行なわれます。一つは、定常業務です。先ほどいったように「今できることを徹底的に行なって最大のの業績を上げて、年度目標を必達すること」です。今ひとつは、改革業務とでも言いますか、今期の業績にはならない、むしろ今期には費用だけが計上されるものです。これこそが3年後のビジョンを達成するための戦略課題の業務ということです。この両者に取り組むことが必要出ることは自明の理ですね。

このことは非常に大事なことです。従来の目標管理では「目先対応」となります。それを防ぐために、部門経営者は常に定常業務と改革業務を念頭に入れて計画を立案することです。まして、昨今の“成果主義”をとると目先対応せざるを得ない状況を作ることとなりますので注意が必要です。成果を査定して、それで報酬の差がつけられるわけですから、当然今期に成果が出ないようなことをわざわざやる人はいなくなりますよね。成果主義、もっと本質を言えば“成果査定主義”をやっていると組織がおかしくなるのは当然ですね。

さて、年度経営計画の話に戻します。私は、年度経営計画は部門経営者の“決意表明”であると位置づけしております。さらに、年度経営計画は“必達するもの”であると。「この事業を将来こうする。そのためにこの一年でここまで行くんだ!」ということです。そこで社長と“経営資源の配分”で交渉することとなるわけです。「従って、人を○人採用する。費用はこれだけ使う」という交渉です。もちろん社長がこれを了解したならば、何か不測の事態が起きたときは自ら乗り込んで目標達成に向けともに汗を流す覚悟が必要となります。権限を委譲するということはそういう緊張関係を作ることに他なりません。

私のやり方は、事業という部分ではなく“全体”を経営することを通じて部門経営者が自ら育つ「場」をつくる、そしてその中で大きな“修羅場”を越えていくことで経営者としての要件を身につけていくことを行なっていくわけです。それは単に「個人として結果を出す」ことだけではなく、「組織として結果を出す」ことが求められます。そこにはベースとしての“意志”と“リ−ダ−シップ”が必要なのです。

参考図は、現在のMBO(目標によるマネジメント)の欠点を補うために生まれてきたMBB(信念によるマネジメント)を示したものです。
  
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2005年06月18日

第6講 戦略を具体化するよい方法とは?                                   §6−1 戦略をストーリーにすることが第一歩

495899eb.JPG今までやったことのない思考を続け、「ビジョンの構築」と「戦略の創造」に悪戦苦闘の末、とにもかくにもやっとこぎつけたのです。つぎにやるべきことは、この戦略を出来るだけ多くの社員に理解と納得をしてもらわなければなりません。現実に戦略を実行していくのは彼らのなのですから。そして、つぎに社員の理解納得してもらった戦略を、現実に実行できるように具体的施策に落とし込むことです。

戦略を社員の皆さんに理解納得してもらうためには、戦略をストーリーにすることです。そして、そのために私は、「戦略マップ」を活用します。これは、今まで考えてきた戦略を、4つの視点で描こうというものです。最初は、目標数値となります。売上や利益、或はキャッシュフローやROAなどを示します。これを「財務の視点」といいます。

次に、「財務の視点」でしました目標を、どのような顧客に、どのような製品・サービスを提供することで達成するのかを示す必要があります。CVCCでいえば、C(真の顧客)とV(価値)を示すこととなります。従って、この第二の視点を「CとVの視点」といいます。

第三番目には、V(価値)をどのように実現するのかを、ビジネス・システム(企業活動における様々な機能を一気通貫につなげたもので、バリューチェーン価値連鎖ともいう)の視点から示すことです。提供価値であるVは、基本的に独自の価値を創造するというものですので、ビジネス・システムの工夫が必要となります。それは、コア・コンピタンスをどのように構築するのかをいうことでもあります。それゆえ、この第三の視点を「VとCCの視点」といいます。

最後に、第四の視点として、上記を達成するためには「人材」と「組織能力」の質と量を高めなければなりません。そこでこの視点を「人材と組織能力」の視点といいます。ここはCVCCを好循環させるための基盤となるエンジンといえます。

財務の視点、つまり数値目標を頭に置き、その目標を達成するために、第一にどの顧客に、どのような独自の価値を提供するかを明確にする。さらに、その独自の価値を創造するためのビジネスシステムを工夫し、構築する。最後には、以上を実現するためには有能な人材と組織能力を高めることが必要となります。これら4つの視点のそれぞれで戦略目標を明確に絞り込み、4つの視点の戦略目標を下から順番に因果関係で結びつけるのです。当然、因果関係で結びつけることの出来ない戦略目標は、戦略目標としてはおかしいということになるわけですね。

戦略マップを描くことで事業戦略自体が合理的な構造になっているのかどうかが確認できることになります。これによって戦略を一枚の簡潔な絵として示すことが可能となり、事業部門のすべての社員がコミュニケーションできる効果的なツールとなります。

戦略マップでは、ビジョン実現のための戦略をストーリーとして描きますが、4つの視点の時間軸が異なることに注意する必要があります。つまり、一番時間のかかるのが第4の視点の「人材と組織能力の視点」です。次に時間のかかるのが第3の「VとCCの視点」です。その次に時間のかかるのが第2の「CとV」の視点ということになります。その時間軸をきちっと押さえておくことが大切です。

私の場合、約10年ほどこの手法を活用しておりますが、現実には大きな壁が立ちはだかります。部門長の戦略思考が弱いために、当初は業務の羅列になってしまいます。また、それぞれの視点の戦略目標のレベルが合わないこともしばしばあります。また、PDCAを回していくことで、因果関係があると思っていたが実際には因果関係などなかった、ということもあります。或は因果関係に飛躍があり、大事な項目が漏れていたということもあります。全く想定していなかった項目が見つかることもあります。最初からうまくはいかないものですが、100点満点の30点くらいからでもスタートして、試行錯誤を繰り返すことで戦略マップに磨きがかかり、その活用の効果が認識されるのです。これは皆さんも是非活用していただければいいと思います。

戦略目標を描くことができたら、次にこれを具体的な施策に落とし込まなければなりません。それにはBSC(バランスド・スコアカード)を活用します。
これは戦略マップで描いた4つの視点のそれぞれの戦略目標をブレークダウンしていきます。まず戦略目標が達成されたかどうかを測るための尺度を示します。これを「成果指標」といいます。次に、戦略目標を達成するための重要成功要因を明確にします。これは成果指標の先行指標ともいえますね。そして重要成功要因をいくつかの具体的施策に落しこんでいきます。

戦略目標と成果指標は、部門経営者の責任と権限となります。そして具体的施策が部門メンバーの責任と権限となります。部門経営者と部門メンバーのコミュニケーションをつかさどるツールとして重要成功要因があると理解すればいいでしょう。

BSC(バランスド・スコアカード)については、現在では多くの書籍が出版されておりますので、1冊は是非読んでおく必要があります。これも最初は総花的になってしまったり、落とし込みがわかりにくかったり、多くの壁に突き当たりますが、利用価値の大きいものと思います。是非活用してください。

一般に目標管理を使って業績評価を行なう場合、どうしても目先対応になってしまいますが、戦略マップとBSCを活用することでこれを防ぐことが出来ます。将来のビジョン実現の目標があった上での、今年の目標と具体的施策があるということを認識することができます。いわゆるタコツボ化を防ぐことが大切ですね。

戦略マップの参考図を示しておりますが、これはBSCに関する書籍から引っ張り出したものです。書籍名や著者などが不明ですがご容赦ください。  
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2005年06月10日

§5−3 なぜ事業計画書をつくるのか

1522721c.JPGCVCC細胞分裂法を武器にして、まずは現状の事業を一つひとつの「意味のある事業」として細分化する。そして、その一つひとつについてCVCCのVである「顧客への提供価値」を尖らせ、将来にはオンリーワン企業として存在できるレベルにまで高めることを行なう。このプロセスでの思考のハードトレーニングによって、各事業(つまりは、各CVCC)の将来の目指す姿としてのビジョンが描けてくる。Vをここまで高めることができれば、顧客の期待を超えることが可能となる。そのVに貴重なお金を喜んで払ってくれる「C(真の顧客)」は存在する。そのVを実現するためには、1,2年以内にコア・コンピタンスを構築・強化しなければならない。というような筋書きが出来てくる。

さて、そこでここまでのプロセスをストーリーとして事業計画書に作成することが大切です。多くの激論を通じて、それぞれのCVCCを経営するのにふさわしいと思われる部門経営者がおのずと決められてくるものです。そのひとたちは、現在の事業部長かもしれませんし、製造課長かもしれませんし、総務課長かもしれません。極力メンバーの中から選ぶことがベターです。はじめにプロジェクトメンバーを選ぶときには、このようなことを念頭においておく必要があります。考えに考え、いつかそこに情熱・使命を感じるようになったものこそが、事業の経営を行なうのにふさわしい人材だからです。もちろん、すべてのプロジェクトでこのような人材が出揃うということではありません。

よりふさわしいであろうと選ばれた部門経営者が、「事業計画書」を作成することとなります。直接的には、作成した事業計画書をメンバーで更に討議していきます。もちろん、その事業が投資に値するものかどうかを「投資家」の立場で議論するためです。つまり、わが社のなけなしの経営資源を投入してやる価値のある事業なのかどうかを真剣に討議するわけです。もちろん最終的な判断は社長が行ないます。

事業計画書作成の目的は、それだけではありません。まず、部門経営者として事業を経営していく上で、「本当にこれでいいのか?」を自問自答することも大切なことです。事業の問題点を抽出して、成功の確率を高めることにもなります。更に、現実の経営は、自分ひとりで行なうわけではありません。部門メンバーの意欲的な参加も必要ですし、社長をはじめとする他の経営陣の支援も必要となってきます。従って、関係者に事業の内容を理解納得してもらうことが必要です。

また、事業計画はあくまで仮説で成り立っているわけですから実際に経営を行なうプロセスの中で、その進捗状況を管理しなければなりません。仮説の一つひとつが正しい方向に向かっているのかどうかなどをチェックすることですね。要するに、PDCAを回すということです。年度経営計画が小さなPDCAというなら、これは大きなPDCAを回すということですが、もっと深い意味があります。「ビジョンから始まるPDCAを回す」といったほうが適切な表現だといえます。この「ビジョンから始まるPDCAを回す」ことが部門経営者を育てるための非常に重要なプロセスとなります。

実は、プロジェクトメンバーの中で、今までに事業計画書を作成した人はいないというのが現実です。そこで、事業計画書の事例を見てもらい、事業計画書に記述するポイントを明確にしておく必要があります。ベンチャーブームもあって、書店に行けば「事業計画書のつくり方」という書籍が数冊は並んでいるので、どれか一冊を選んで勉強してもらうことも行ないます。これでプロジェクトメンバーは、今まで気づかなかった多くのことを学ぶことができます。

事業計画書を作成することの効果は、予想以上に大きいものがあります。今までの、プロジェクトメンバーの声から拾い出すと次のようなことがいえます。
1.事業を事業として考えることの重要性を知ることができる。今までは単に、売上を上げ利益を上げることを考えていたが、事業を経営することは、それとは次元が全く異なるということがわかる。2.事業を経営するためには、やはり事業に対する夢やロマン、信念がなければならないことがわかる。これらのものが事業経営の原点であるということです。3.つまりは、事業を経営するには、事業の将来の姿(目指すべきビジョン)を明確にしておかなければならないということです。4.すばらしい事業にしていくためには、つまりオンリーワンビジネスを行なうためにはCVCCが尖っていなければならない。5.そして、市場の環境変化に対応して、CVCCが常に進化し続けるようにすることこそがビジョンを実現するために必須の条件となる。6.情熱もさることながら、事業経営にはトップのコミットメント(神に誓うとか出来なければ腹を切るという意味だと解釈しておけばいいでしょう)がなければならない。7.事業は投資家が投資に値していると判断するものでなければならない。8.従って、事業とは最終的に数字で裏打ちされていなければならない。9.事業の経営は大変しんどいものだが、挑戦するに値することも知ることができた。

事業計画書によって各事業について討議したあと、複数の事業をプロダクト・ポートフォ・マネジメントによって全社最適のための、つまりは企業全体が成長発展していくための各事業の使命と資源配分を行なうこととなります。「企業(事業)構造変革プロジェクト」では、必ず事業計画書を作成することをお薦めします。




  
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2005年06月02日

§5−2 参考図 トルネードチャート

50ad660b.JPG不確実要因のなかの黒幕を探すためのトルネードチャートを参考として掲載いたします。  
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§5−2 参考図 確率分布曲線

43aabd78.JPGリスク管理をおこなう確率分布曲線の参考図を掲載いたします。  
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§5−2 参考図 因果関係図

e87c2cb5.JPGPL作成のための因果関係図を参考としてください。  
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§5−2 戦略案のリスクをどう読むのか?

戦略の策定では、必ず複数の代替案を創造することが非常に大切であることを述べました。これによって、「あっ!そのような考え方もあったのか」とお互いに新しい発見ができることにより思索の幅と深さが広がります。同時に、そのことが市場変化への対応をより敏感なものとしていくことができるのですね。そこで、複数の代替案からよりベターな案を選択しなければならないのですが、それは前回の所で述べましたが、一定の基準を設けてそれに照らして選んでいけばいいということです。

ところで、戦略代替案の定量的基準として収益性基準がありましたね。それはNPV(ネット・プレゼント・バリュー:事業の各年のキャッシュフローを現在価値に割戻し累計したもの)がいいということなのですが、これを求めるときに、それぞれの数値のリスクをどのように判断すればいいのかという問題があります。つまり、それぞれの代替案から導かれたNPVは、キャッシュフローを計算する上での色々の要因は不確実なものであるが、それを一定の数値(最尤値)に固定してはじき出しているというのが現実です。

つまり、不確実な要因を最尤値で固定してしまうというリスクを冒していることになります。このリスクを考えておかなければなりません。本日の話はかなり技術的な話になりますが我慢して聞いていただければ幸いかと思います。また、ここではリスク分析のソフトを使っております。現在市販されているソフトとして構造計画研究所の「クリスタルボール」や日本インテグラートの「デシジョンシェア」などがあります。使い勝手は、一長一短あり、どちらがどうちらがどうということはいえません。私は、当時売られていたのはクリスタルボールしかなかったので、これを使用しております。ここでの説明は、それを活用した説明となります。

単純に、営業利益を考えると、それは例えば、売上高と変動費と固定費から計算されます。売上高は、市場の規模とシェアや価格と売上数量などで決まり、市場シェアや価格は競争状況により変わります。同様に変動費を構成する原材料や外注費や運搬費などによって変化します。固定費もヒト、モノ、システム、カネに関わる多くの要因によって変化します。自社に尤もふさわしい因果関係図を作成すればわかりやすいですね。その因果関係図からPL(損益計算書)を作成することになります。

次に、それぞれの要因の数値に幅を持たせることが大事です。例えば、価格なら価格競争が激しく現在の価格である@1000は、来期には@980〜@940まで考えられるというように幅を持たせるのです。それぞれすべての不確実要因に幅を持たせたら、次に例えば、価格がその幅の中でどのように現れるのであろうか、を確率分布として考えます。例えば、@980になる可能性が一番高く、@940になるに従ってその確率が低くなるというような分布になるのか(直角三角形分布)、或いは中心となる@960を頂点に、一方は@980、一方は@940とする三角形のような分布になるのか(三角形或は正規分布)、或いは@980〜@940まですべての価格が同じ確率で起こりうるという分布になるのか(一様分布)、というようにその分布を考えます。私の体験からすれば、ここではあまり細かく考える必要はなく、4つか5つの分布うを使えば十分です。

それらの設定を行なってクリスタルボールを活用すれば、“確率分布曲線”と“トルネードチャート”というものが自動的に作成されます。確率分布曲線とは、簡単に言えば、最悪のケースは営業利益マイナス80百万円で、最善のケースなら180百万円となります。そしてその間の発生確率は、××%であることがわかるということです。もちろんその平均としての期待値がわかります。

トルネードチャートというのは、沢山ある不確実要因の中で、どの要因が重要なものかを判断するツールとなるものです。各不確実要因が最小値の場合から最大値の場合に振れた場合、その要因の振れによって営業利益がどの程度影響を受けるかを算出します。つまり、それによって影響度の高い項目が明らかになり、最善のケースである180百万円にできるだけ近づけるように、その影響度の高い要因(私の体験的からいうと3つの要因でたいていは解決できる)について更に検討を加えていくことができるのです。よくある会議では、影響度の極めて小さな要因だが、自分がよく知っている要因という理由で、延々と検討することが多いわけですが、このような無駄なことはなくなるわけです。

将来のことは誰にもわからないのです。しかし、不確実な要因である市場の規模やシェア、価格、コスト削減効果などなど、本質的に不確実を含む要因についてすべて一点張りの予測をし、それに基づいて計画を立てるということは危険であることを理解納得していただきたいのです。多くの場合、その一点張りの数値が極めて“楽観的”なものであることは先刻ご承知のところですね。それではリスクに対する判断やそれに対する打ち手が非常に甘いものとなり、変化対応力を鈍らせることになるのです。

ここで述べましたリスクに対する考え方は、未来をできるだけ「うまく当てる」ことを狙っているわけではありません。どこに大きな不確実要因があり、それに関する情報に敏感になり、各関係者がお互いに理解し、共有していくことが重要なのです。





  
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2005年05月27日

5講 どの解決策を選べばいいのか?                                      §5−1 戦略案をどう評価すればいいのか

9926813e.jpg前回戦略を検討するときには、複数の代替案を考え出すことに意義があるという話をしました。これは固定概念を突き破り、変化に適応していくために必要なことです。そこで、複数案出した戦略案を最終的にどのように絞り込んでいけばいいのだろうか、ということが次の問題となります。評価するためには、何らかの物差しが必要となります。

私が用いている評価軸は、一つは、定性的な基準であり、今ひとつは定量的基準です。つまり、一つは企業理念とビジョン、今ひとつは、当然収益性ということです。つまり、企業理念やビジョンに沿ったものなのかどうかをまず判断しなければなりません。今ひとつは、収益性基準ですが、これは一般的に企業価値といわれているものです。つまり、中期的な将来にわたってのキャッシュフローがどの程度になるのかを現在価値に計算すればいいと思います。このとき資本コストをいくらにするのかということですが、単純に10%なら10%として計算すればいいのではないでしょうか。収益性基準については、その数値のリスクをどう読むのかという次のテーマが大変大切なことだと思います。

ところで、ここで企業理念というのが問題(点)として浮かんでくるのです。現在は、ほとんどの企業に理念があります。創業理念、経営理念そして企業理念のどれかになるのですが、ここは企業理念として再度明確にすることをおすすめします。やはり、理念といえども時代の変化に適応していかなければなりません。あまりに抽象的な創業理念、例えば「和」では判断基準になりにくいですよね。

経営理念は、社長の哲学をベースとした理念ですが、それと社員との関係をどう考えるかということがあります。現在のように、企業の中に“多様性”が非常に重要視されている場合に社長の信条が社員にフィットしないこともある当然起こってくるわけですが、それをも「こうあるべきだ」と縛ってしまうのでは大きな問題となります。ここは一つ、企業の理念としてまとめることがいいのではないでしょうか。

さらに、現在の若い人と中高年では生きてきた世界が異なりますので、「わかりやすい」ことが条件となります。「これってどういう意味なんだろう」というものでは、理念として機能していないということです。一般的には、存在意義と経営姿勢と行動規範の三層構造にしておくといいでしょう。ここで経営姿勢とは、存在意義を実現するために、その企業が何に心がけ、どのような目標をもって企業活動を行っていくかという、企業の経営のあり方を明らかにするものです。




  
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2005年05月19日

§4−3 戦略案は複数案出すことに意義がある(一点張りでは変化対応できない)

企業が中長期的に成長・発展していくためには、企業経営のツボとなるCVCC(真の顧客は誰か?その顧客がわが社から買う価値は何か?わが社独自の価値を創る中核的な競争力であるコア・コンピタンスは何か?)を明確にすると同時に価値の“V”を尖らせることが不可欠となります。競合各社の“V”がどの企業も同じになってきており、勢い“価格”と“人間関係”でのみで戦わなければならないところに現状の閉塞感があるということです。

価値の“V”を尖らせるときに気をつけなければならないことは、従来の市場で、従来通りの武器で勝とうとすることでは消耗戦にならざるを得ないことははっきりしており、ここではどうしても競合他社と違うことを考え抜くことが不可欠であるということでした。そのための独自の“V”を創造しようというわけですね。中規模企業がとるべき戦略は、コストリーダーシップ戦略ではなくあくまで差別化戦略でなけれがならないというのが私の信念です。

M.E.ポーター教授によれば、競争戦略の条件として次に五つを挙げております。1.ユニークな価値提供、2.ユニークな価値連鎖(ユニークな価値を創造するビジネスシステムを構築するということ)、3.トレードオフ(従来の戦略を継続している競合他社が真似をすると両立しないという戦略を考えるということ)、4.活動間のシナジー効果、5.継続性の五つです。

“V”を独自のものにしていくわけですから、これこそイノベーションといえます。つまり、新しい独自の“V”を考え抜くことこそがイノベーションとなるのです。イノベーションを創造していく場合、より重要な視点として、顧客にイノベーションの基準が見えるかどうかということがあります。ある機能、例えば薄さを競う場合、その基準は顧客に見えます。ところが顧客にその基準が見えないものがあります。例えば、「新しい生活の提案」というのは見えないわけです。つまり、見えない基準を見出して、これを解決することで価値を提供するというのがよりよい戦略となります。顧客の現場に入り込んで、顧客の気づかなかった潜在的ニーズを掘り起こし、これによって顧客の不満を解決していくというのがお勧めのやり方なのです。

このような考え方で戦略の策定に向かうわけですが、プロジェクトメンバーが陥るのは、討議の中で一つの解を出そうとすることがあります。なぜかわかりませんが、すべての企業のプロジェクトでこのようになってしまいます。そうではなく、考えられる色々の解を出すことこそが戦略を策定する際に大変重要なことなのです。これが市場の変化に適応できる方法であることは自明の理なのですが・・。いままでは「一点張りのやり方で凌いでこれた」のですが、これからはそうはいかないからです。

どうやらその理由は、今まであまり考え抜くということをしてこなかったために、考え抜くということができないということがあるようです。更に、明日を考えるにもかかわらず、「今できる範囲」でものごとを考えることです。皆さんの会議でよく出てくる意見は、「それはむりだよ?」というのです。そして、特に上司がそういうことをいってしまうケースが大半で、そこで“思考停止状態”となります。そうならないようにわれわれコンサルタントがうまく道案内しなければなりません。

ものごとを考えていく場合、つまり問題解決を行なう場合、拡散するときには徹底的に拡散することがポイントとなります。拡散とは、アイデアを出すときは徹底的に出すということです。そして、出し尽くしたら(これ以上は出ないという状態になったら)、今度はそれを収束していかなければなりません。その作業を分けていくことです。ここでも、戦略代替案を出すときには徹底的に考え抜き、「こういう打ち手もある!」というものを沢山出すこととなります。沢山出てきた代替案を、つぎにどれがよりよい案なのかを絞り込んでいくわけです。問題は、「よりよい」という判断をどのような基準で行なうのかということですね。例えば、企業理念や企業価値などで選択していくのです。

このようにきちっと手順を踏んで問題解決を行なっている企業が、実はほとんどの中規模企業なのです。「なんだ、他社もそうなのか!」と安心して貰っては困りますよね。少なくとも選ばれたプロジェクトメンバーはきちんとできるようになれば、これがわが社のコア・コンピタンスを築く大きな要素となります。それ以前に、戦術戦闘レベルでの競争優位性に大きくつながることは、私が保証します。  
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2005年05月11日

§4−2 経営の押さえるべきツボとは何か?

4b770975.JPG事業の単位をできるだけ小さく細胞分裂させ、その事業の経営を部門経営者に任せていくというのが企業を活性化するための私のやり方です。これだけ市場が成熟しており、その環境変化が激しい時代には、現場にいる人、或は現場に近い人に経営を任せていかざるを得ないわけです。市場にきめ細かく対応することがポイントとなります。同時に市場の変化に敏感な部門経営者が企業の成長・発展の鍵を握るということです。常に変化する市場の中にビジネスチャンスを敏感に感じ取って、それをビジネスにしていくことで成長・発展を目指すということです。なぜならこれだけ大きな変化があるということは、非常に多くのビジネスチャンスがあるということですから。

その際事業の単位をどのように分ければいいのかという非常に大事な問題があります。その方法として“CVCC細胞分裂法”が極めて有効な武器となることを長年の体験から確信することができました。もっともすべての企業でこれが有効かというとそうでもありません。しかし、この方法によって多くの企業で成功してきたという実績があります。当然、このやり方がその企業にとって成功にいたる鍵となるのかどうかを判断することが私の役割でもあるのです。

経営の単位をCVCCという細胞におき、それぞれの事業単位である細胞を活き活きとしたものにすると同時に、それぞれの細胞を全社最適の視点でマネジメントすることによって企業の中長期的な成長・発展を図っていくという経営を推進していくのです。部分最適と全社最適をバランスさせていく経営を推進していくのです。

さて、私が企業を見る際のフレームワークは、図にあるような見方です。これは各企業で自社の現状を認識するときに役立ちますので活用していただきたいと思います。§2−2で戦略経営について説明いたしましたがそれを基本としています。社長の志・ロマン→企業理念→ビジョン→戦略→組織マネジメント(リーダーシップ→組織構造→マネジメントコントロールシステム→組織文化)という一連の仕組(システム)に焦点を当てることがポイントです。システムとして捉えるということは、それらの一つ一つの要素がお互いにプラスに関連し合い、かつ“好循環”しているということが大事な視点となります。

図は、ある企業での問題点を整理したものです。現在および今後の構造的な環境変化にとってキーポイントとなる上部の要素である「社長の志・ロマン→企業理念→ビジョン→戦略」に決定的な弱点があることが示されております。実はこの問題は図にある企業だけの問題ではなく、ほとんどの企業で共通に見られる問題なのです。上記のように、CVCCという細胞を核にしながら、この構造を変革する、つまりCVCCから入っていって、そこから上位の志や理念にさかのぼっていくというのが私のやっていることですね。経営書に書いてあることと全く逆の手順を踏んでおります。苦難の末に導き出したやり方です。そして、多くの成功例を勝ち取ったやり方でもあります。

つまり、この構造の中心となるのがCVCCにあるということです。企業が環境変化に適応して成長・発展していくためには、ご承知のように企業が“進化”していかなければなりません。進化とは、イノベーションを起こし続けていくということです。イノベーションとは何もすばらしい技術を考え出すこととは限りません。CVCCの価値(V)を市場の変化を洞察しながら常に新しい価値(V)に創造していくということもイノベーションなのです。

価値(V)を新しく創造し続ける原動力は、当然コア・コンピタンス(CC)ということになります。コア・コンピタンス(CC)というのは、ベースに経営資源があります。経営資源には土地や建物や機械などのような“見える資源”とブランドやノウハウなどの“見えない資源”がありますが、これら資源と過去に培われた能力を活用して、戦略に基づいた色々の活動が行なわれます。その活動が独自の新しい価値(V)を創造し続けることとなります。

大事なことは、それぞれの活動がお互いに独立してるのではなくて、相互にその活動を強めていくという相乗効果を発揮すること。さらに、「資源・能力の活用→活動→独自の価値」がスパイラルに好循環することが非常に重要なのです。私が目指すエクセレエント企業とは、CVCCを核にした、このような好循環の仕組ができており、現実に成果をあげている企業なのです。

私がCVCCを“経営のツボ”といっているのは以上のような理由でいっております。企業は問題解決の連続です。問題を解決すると、又次の問題が発生して来るというのが実態ですね。“企業変革プロジェクト”でやるべきは、種々の問題を優先順位を決めて順番に解決していくというものではダメなのです。押さえるところを押さえない限り、常に元に戻る(振り出しに戻る)ということが起こります。これは多くの社長が実感されていることと思います。企業変革のツボとは何かを理解納得し、これをしっかりと解決していくことが成功の鍵ですね。  
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2005年05月04日

4講 わが社の戦略課題を解決する方法とは?                           §4−1 戦略は何を単位に検討するのがいいのだろうか?

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さて、前回のセミナーで“CVCC細胞分裂法”を簡単に紹介しました。細胞分裂法といっているのには理由があります。売上高30億前後の企業の場合、多くは単一事業として経営を行なっておられます。複数の事業が存在する場合でも、組織として1部、2部というような部門名をつけておられますが、一つひとつを事業として経営されているケースはほとんどみられないのが現状です。事業として経営するのではなく、1部や2部の業績を管理するという経営が行なわれております。

単一事業であれ、複数事業であれ、“事業を明確に峻別してそれぞれの事業をしっかりと経営する”ということに私はこだわります。これは、事業を事業として経営することの大切さと同時に、私が目指す変化に敏感な企業を創るためには、小さな事業ユニットを作り、その事業を自己規律の徹底している“個を活かす組織、個が活きる組織”で経営することが必要となるからです。

ここで単一事業についていえば、本当に単一事業なのかという疑問を投げかけます。多くの場合、それは単一ではなく、複数の事業から構成されていることがわかることになります。どういうことかと申し上げますと、現状の売上高30億の中味を分けるのです。分けるときに、先のCVCC細胞分裂法を活用します。30億の中味をCVCCで分けていくことを行ないます。多くの場合、それを製品(群)別で分けることになりますが、製品(群)別がすべてとは限りません。

さて、製品(群)別にCVCCを定義していくと、異なったCVCCがいくつか出てきます。ここで大事なことは、CVCCが異なれば当然異なった事業が複数存在するということになります。なぜならCVCCこそが事業の単位となるからです。顧客(C)が異なる場合もあれば、(提供する)価値(V)が異なる場合もあるし、またコア・コンピタンス(CC)が異なる場合もあります。ここでのポイントは、1.CVCCを明確に定義すること。2.CVCCの市場の規模があまりにも小さくならない程度の粗さにすること、です。あまりに小さく区分して、市場規模が年間1億にもならないのでは、一つの事業として経営するには小さすぎますね。

現実にこの作業を通じてほとんどの企業では、明確にCVCCが定義できないということになります。そもそも真の顧客ってなんだろう?得意先が真の顧客とは限らないということが起こってきます。また、現在の売上の何パーセントが真の顧客に販売してのものなのかも気になるところです。ある企業では、50%位が真の顧客ではないということもありました。

次に、一番難しい価値の定義です。わが社が提供している価値とはなんだろうか?製品やサービスではありません。製品やサービスを通じてどのような価値をお客様は認めてくれているのだろうかということなんです。さらに、わが社が「価値は××××だ」といっても、必ずしもお客様が「そうですね!」ということにはならないのです。価値で最重要の問題は、業界での競争は、この価値で行なっているということだから、この価値で同業他社にいかに差別化するかが問われるのですが、どの企業も同じ価値しか定義できないことがわかってきます。つまり、わが社の価値ではなく、業界の価値を定義することになるのです。

コア・コンピタンスについていえば、そもそもコア・コンピタンスとは独自の価値を生み出す核となる競争力ですから価値があやふやな場合は、当然あやふやな価値を生み出すコア・コンピタンスは何かという、わけのわからないことになりますね。また、よく出てくるコア・コンピタンスは、「わが社の信頼性の高いことだ」「わが社のきめ細かな対応力だ」というのがあります。いっている信頼性とかきめ細かな対応そのものがよく理解できないですね。それが価値とどういう関係にあるのかとなると、「???」となります。

CVCC細胞分裂方で小さな事業ユニットをつくろうというのですが、実際にやってみるとなかなか大変な仕事となります。現状のCVCCは、先ほど述べましたように、業界のCVCCになってしまいます。まさにこれが売上や利益が低迷している原因なのです。価値(V)に独自性がないものですから、どうしても価格競争や「人間関係(これもわかったようなわからないような競争力です?)」ということになります。「このままではダメだ?」とプロジェクトメンバーは認識するのですが、このまま放っておくことはできません。当面、何らかの独自性をわが事業の価値(V)としてもたなければ低迷から脱出できないことになります。ここでメンバーは必至になって考えて、考えて、考え抜かなければなりません。「悩み、苦しみ、もがきながら全身から搾り出すしかない」作業なのです。「この会社に入社以来こんなに頭を使ったのははじめてです」と多くのメンバーはいいますが、実はこれこそが組織能力をレベルアップする必要条件なのです。

ここでメンバーの人たちが陥る罠は、「そんなことは今できないよ?」というものです。今できないことはやらないということであれば、いつまでたっても何も変わらないということで、ますますジリ貧になります。「確かに今はできないが、こういう価値を提供できれば勝てるのじゃないか?その価値を提供できるコア・コンピタンスを開発しよう!」ということでないと何のための戦略か、ですよね。

価値(V)を尖らせることは大変難しいのですが、できないということはありません。ほとんどのプロジェクトメンバーは業界の常識という固定観念に縛られていることが発想を貧弱なものにしていることは確かです。そこで、1.反対からみる。2.拡げてみる。3.縮める。4.足す、掛ける、統合する。5.引く、割る。6.究極のあるべき理想像を考える。7.100年先の社会をイメージする。8.全体像を描いてみる。9.認識と思考のパラダイムを変える。などの方法もとってみることがいいですね。

よくあることですが、「顧客のために・・・」とか「競合他社に比べて・・・」とか当然と思われる思考法は、これも大きな罠になります。なぜなら「顧客のために」と考えた途端、“顧客の立場”に立つのではなく、企業側から顧客を見た発想になるからですね。「競合他社の比べて」という発想も同じですね。私もそうですが、「顧客の立場になりきる」というのは難しいですね。だが必至になってやりましょうよ。

また、少なからずの成功を体験できたのは、日比野省三博士によるブレーク思考法です。これは、目的をドンドン掘り下げていって、その本質的なところまで考え抜くというものです。そして、本質的目的と全く別の何らかのコンセプトと統合(異種統合)するというものです。同じ目的を異分野に見出し、そのコンセプトせぷつを統合するするということですが、ちょっとわかりにくいと思います。博士の書籍がありますので一度読んでみてください。『超思考法「パパ・ママ」創造理論 「異種結婚」で大ヒット商品をつくる』講談社です。
  
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2005年04月27日

§3−3 ビジョンを実現するのが戦略というのだが?

916a50ff.JPG考えに考えた末に、やっと「ビジョン」ができました。次に、これを実現するための方法、つまり戦略を策定するステップに入るわけです。それには、現状と(たとえば)5年後の姿とのギャップを認識しなければなりません。ところで、§2−3において戦略には二つの違う次元のものがあることをお話しました。つまり、企業戦略と事業戦略ですね。従って、ビジョン実現のための戦略も二つの種類のものがあるわけです。一つは、企業ビジョンを実現するための方法である企業戦略です。二つ目が、事業ビジョンを実現する方法である事業戦略です。

ところで戦略を問題解決という視点から見てみましょう。問題解決には、大きく三つの種類が考えられます。一つは、皆さんが常日頃から行なっている、発生してしまった問題を解決する場合です。これを“発生型の問題解決”といいます。これは、あるべき基準からずれているから基準に戻せということですね。二つ目は、別に問題ではないんだが、意欲的に「もっとよくしたい!(改善したい)」ということがありますね。QC活動というのがありますが、これはまさに「もっとよくしようよ!」という活動です。これを“探索型の問題解決”といいます。最後の三つ目には、敢えて創り出す大きな問題を解決するというのがあります。これを“創造型の問題解決”といいます。戦略における問題解決とは、最後の創造型の問題解決なのですね。

事業戦略について話を進めていきましょう。問題は、ギャップをどのように認識するかということです。企業の構造改革をやろうというプロジェクトですから、事業の構造を変革することになります。事業の構造というのは何ですかね?一般に、事業=顧客(群)×製品(群)という方程式が成り立ちます。場合によっては、もう一つの変数として、販売システムを加えることもできます。この場合、事業=顧客(群)×製品(群)×販売システムとなります。これって、今ハヤリの言葉でいえば、“ビジネスモデル”を変革しようということになります。ビジネスモデルとは、要するに「商売のやり方」ですから、事業構造とは、「今の商売のやり方を根本的に変えよう」ということになります。

つまり、どの顧客に、どんな製品を提供するのかによって事業が決まるということです。従って、製品(群)を大きく変革する、顧客(群)を大きく変革する、或は販売システムを大きく変革する、ことが“事業の構造を変える”ということになりますね。現在の環境変化との間にズレを生じてしまったために業績が思うようにいかないという事実からスタートしたのですが、このズレをいち早く軌道修正し、なおかつ将来の環境変化をも先取りできないかを考え抜こうということです。つまり、埋めなければならないギャップとは、環境変化と事業とのギャップということになります。

今ひとつ重要な要素があります。それは競合他社ということです。戦略とは、相対的な問題です。競合他社より先んじていればいいわけですから、「競合他社はどうなのか?」を認識していないと片手落ちになります。孫子の兵法でいうではありませんか。「敵を知り、己を知れば百戦危うからず」と。

さて、事業の構造、特に製品(群)と顧客(群)の変革をどのように考えていけばいいのでしょうか?私の場合、長年の経験から一つの単純なことに気がつきました。事業を一つの生命体と考えることができます。生命体のように、生まれてきて、成長し、そして成熟を迎えて、最終的に衰退していくという一生を送ります。生命体というものは、細胞を持ち、そこには肝心要の“核”を持っています。そこで、事業の核は何かを考えた場合に、三つに集約されることがわかりました。顧客と(提供)価値とコア・コンピタンスの三つです。その頭文字をとって、CVCCと呼んでおります。そうです、あのホンダのCVCCを連想してつくりました。

聞くと何のことはない話です。少し説明しましょう。顧客とは、“真の顧客”のことをいいます。大事なことは、皆さんが売上を上げているお客様すべてが“真の顧客”ではないということです。売上を上げている多くのお客さんの中には、「売ってはいけない偽のお客様」がたくさん含まれているのです。売上を拡大しておれば企業の中で発生するすべての問題を解決してくれる時代が長く続いたものですから、どうしても「イケイケドンドン」できました。実はこれこそが現在の閉塞状況を作っている元凶なんです。それは、次の(提供)価値と密接に絡んできます。

(提供)価値とは、「真の顧客はわが社の何に対して貴重なお金を払ってくれるのだろうか?」という質問に対する答えとなるものです。ここは製品・サービスではなくて、敢えて“価値”なのです。これについては非常に参考となる話があります。『マーケテイング近視眼』セオドア・レビット著(93年)〜引用しましょう。

鉄道産業が成長を止めたのは旅客と貨物の輸送に対する需要が減ったためではない。その需要はまだ増えている。今日鉄道会社が危機に見舞われているのは輸送が鉄道以外の手段に奪われたからではなく、鉄道会社自身がそれらの需要を満たすことを放棄したからである。

鉄道会社は自分の事業を“輸送事業”と考えるのではなく“鉄道事業”と考えてしまったために顧客を他へ追いやってしまったのである。事業の定義をなぜ誤ったかというと輸送を目的と考えずに鉄道を目的と考えたからである。 顧客中心ではなく製品中心で考えてしまった。製品を通じて提供する価値に基づ
いて考えなければならない。

そのためには、常に今の時代、この商品でお客様の価値を満たせるかどうかを考えていなければならない。そうでなければその事業を創造的に破壊していこう。私が創造的破壊を強調するのは,経営者が旧来の考え方から抜け出す努力をしなければならないからである。

今日一つの会社、一つの産業は自らの事業目的をフル生産の経済性だけにおいたり、危険極まりない製品中心主義に偏らせたりしやすいものである。経営者自身の考え方がフラフラしているとどうしても製品を生産することにいってしまって、顧客に満足を与える方向に行かない。自社セールスマンに製品を売捌け、そうしないと利益が出ないぞ。というほどの底無しの泥沼に落ち込まないとしても間違いなく徐々に衰退してしまう。今の製品を売ることばっかりやっていけない。

企業が存続するために必要なことを行うのは当然である。市場の要求に同調し、しかも素早く行わなければならない。しかし単に存続するだけでは大した願望ではない。問題は堂々と存続し、事業で成功したいというほとばしる衝動を持ちつづけることである。成功という甘い香りに酔うのではなく、企業家としての偉大さへの道を内心で強く実感することである。

どんな企業も脈打つ成功への意思決定に駆り立てられた精力的なリーダーなくしては偉大なる業績を上げることはできない。リーダーは勇壮なビジョンを、無数の熱狂的追随者を引きつけるだけのビジョンを持たなければならない。追随者とは顧客である。このような顧客を作り出すためには企業全体が顧客を作りだし、顧客満足を与える有機体とみなされなければならない。

経営者の使命は製品を生産することではなく“顧客を作り出すための価値の満足を提供”することにある。経営者はこの考え方とこれが意味し要求するすべてのものを企業の隅々までに押し広げなければならない。しかもこれを休みなく、又企業の中の人々を興奮させ刺激するような鋭い感覚を持っていなければならない。又企業の中の人々を興奮させ刺激するような鋭い感覚を持って行わなければならない。

三つ目は、コア・コンピタンスです。コア・コンピタンスとは、上記の“価値”を提供できる“独自の中核的能力”のことをいいます。事業に競争力があるということは、先ほどの“価値”で競合他社よりもより多くのお客様をひきつけているということですから、そこで差別化ができていると考えられます。そういった差別化された価値を創造できる能力のことです。もう少し刺激的にいえば、事業の可能性を広げてくれる価値を生み出す独自能力といえます。ここでよく誤解されるのは、“強み”と同じだと考えられることですが、この可能性を広げる、という点が現在の強みとは異なります。  
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2005年04月19日

§3−2 ビジョンの前に必要な構想とは?

9ecf23bf.JPGIBM前会長のルー・ガースナー氏は、コンピュータ業界の様相が一変し、大赤字から消滅の危機に瀕していたIBMで、ハード機器のハコ売りから、ソリューションの提供へとビジネスモデルの大転換を図りIBMを立て直したことで有名である。そのルー・ガースナー氏の最初の宣言が「いまIBMに足りないのはビジョンだけだ」ということであるらしい。

閉塞状況にある30億前後の中規模企業で、その構造改革を進めるときには、同じ宣言をすることとなります(もちろん、その前に戦術力を強化することが前提条件となります)。しかし、「それはわかっているがビジョンを描けないから困っているんだ」という事実があります。また、社長自身の仕事が日常のオペレーションに偏ってしまうという、「悪貨が良貨を駆逐する」ことがあるからです。

「これではいかん?」ということで“ビジョンの構築と戦略の策定”に挑戦するわけですね。そして、前回に話しましが、経営書に書いてあるように経営理念からビジョンを描こうとするのですが、うまくいかないという体験をするわけです。そこで、現状認識から入り、市場の形勢を読み、現状と将来とのにらみ合いの中で「あっ!わが社のビジョンはこういう形ではないか・・・?」というのがおぼろげながら見えてくると説明してきました。実は、ビジョンを描くにはまだ必要なことがあります。“先見力”というのがどうしても必要になってくるということですね。

「あっ!わが社のビジョンはこういう形ではないか・・・?」というレベルにいたるためには、ある程度の先見力が必要なんです。これこそが“見えないものを見る力”といわれるものですね。つまり、わが社を「・・こういう形・・」とした時に、“時代の波に乗っているわが社”且つ“大きく改革したわが社の姿”が見えるということです。

例えば、プロゴルファーがパットをする際に、あっちに行ったりこっちに来たりと地面や芝目を見ていますね。おそらく彼らには、それによって自分の打つボールの転がり具合や曲がり具合が見えて、最終的にホールに入るのが見えているわけです。非凡な人ならいざ知らず、平凡な社長には、最初から先見力でビジョンを描くことはできません。しかし、さきほど申し上げたように、現状をしっかりと分析し、環境変化の大きなトレンドを把握して、現実と将来の間を行ったり来たりしている間に、「ふっと浮かぶ」という先見力が発揮できると思われます。長年社長として苦悩の中で意思決定を重ねているうちに、このような従業員には見えないものが見える力がついているものです。

但し、先見力だけでもダメなんです。「わが社のビジョンはこういう形ではないか・・・?」というのははっきりと見えていないものです。なんとなく見えているというものです。その“なんとなく見えている姿”を具体的にすることができないとビジネスとしては役に立たないものに終わってしまいます。「わが社の未来図」を確立していく仕組を構想することです。

“ビジョンの構築と戦略策定”がますます遠くなったですって・・?そうではなくて、そこまで考え抜かなければ21世紀の“複雑なビジネス界”で勝ち抜くことはできないということをいっているんです。そうはいっても、企業を経営する社長としては、先見力や構想力が高まるようなことはしておく必要はあります。三つほど思い浮かぶことがあります。

一つは、人材ネットワークです。先見力や構想力のある人とのお付き合いをできるだけ行なうようにすることが大切です。よく新規事業を行なうケースがありますが、「新規事業が成功するかどうかは、何を行なうかよりも、誰が行なうかによる部分が大きい」という話をしますが、私の体験から言えば、人材のネットワークがうまくできている人が新規事業を成功させています。色々の人からの“ちょっとしたアドバイス”が非常に大きな成功へのヒントになっているようです。

二つ目に、できるだけ論理的に考えるということです。プロジェクトでメンバーにいつもいうのですが、「それって筋が通らないですよね」、「もっとストーリーにしてください」と。話すことが断片の集まりに過ぎないことが非常に多いですね。ひどい場合は、要するに何をいいたいのかさっぱりわからないということが結構チョクチョクとあるのです。

三つ目に、もっと議論することが重要です。プロジェクトでもそうですが、議論するということがほとんどありません。どうも日本では、反対の意見をいうと人格を否定されているように捉えるのですね。違うのです。議論は、新しい“何か”を生み出すために必要なんです。プロジェクトでは、「徹底した討議のないところに創造はない!」といい続けるのですが・・・。

  
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2005年04月15日

第3講 わが社のあるべき姿をどう描けばいいのだろうか                   §3−1 市場の形勢を読め

fe8d6a3b.JPGさて、いよいよ社長の最大の役割を果たさなければならない。わが社の将来の姿、即ち社長を核にして全社員が向かうべき姿を明確に描くことである。ここで一つ大きな問題があります。現状認識でわかることなのですが、中規模企業がモタモタしている原因は、この全社員の向かうべき姿を描くことができないことにあります。要するにビジョンを明確に描くことができないので困っているということですね。それなのに、「まずビジョンを描きましょう?」といわれても困りますよね。

更に、経営書によれば、経営理念からビジョンを描くことができる、と述べられております。私の経験からいけば、経営理念からビジョンを描くことなどまずできないという事実があります。ご承知のように経営理念は極めて抽象的に表現されているからですが、それ以上に問題なのは、現社長は経営理念を作った本人ではないケースがほとんどであるということがあります。経営理念とは、長年の葛藤の中から滲み出てくるものなのですね。

経営理念よりも、現社長が持っている夢やロマンを追求していくための、ある時点での“姿”として描いた方がいいのではないかという意見もあります。仮に、現社長の夢やロマンをベースにビジョンを作成するとどういうことになるかというと、「ありたい姿(期待の程度)」を示すものであり、更に期待の程度と現実とのギャップを埋める最善策を考えるという戦略になります。これって、経営というよりも管理の仕組に近いですよね。

以上のように、本当に機能するビジョンはどのように構築すべきかという大変大きな問題があるわけです。基本的な考え方としては、ダーウインの「種の起源」にあるように「変化に敏感なものだけが生き残ることができる」という真理があるわけですから、わが社をいかに環境変化に適応させていくかを考えて、その変化の波にわが社をうまく乗せていくためのビジョンを描くことです。そこで、将来の環境変化を洞察し(この洞察というのがクセモノです)なければならないわけです。しかしながら、将来のことはわかりません。例えば、10年前に携帯電話がこれほど普及するなんて誰が洞察できたでしょうか?わからない将来を洞察して、ビジョンを描けということは、わかったようなわからないような話です。

そこで、私などはどう対応するかというと、そんな詳しく将来の環境変化などはわかるわけがないから、“大きな流れ”を読もうということになります。間違いなくこの流れだけははっきりしているいうものだけを捉えるのです。これを「市場の形勢」を読むと表現します。そこで、この市場の形勢をまず読みます。次に、わが社の現状認識を行ないます。わが社の現状はどういう状況にあるのかを、より客観的に把握します。

現状のわが社と市場の形勢の間にある“問題点”をできるだけ多く抽出します。ここではできるだけ多く抽出することがポイントとなります。問題解決では、「拡散」と「収束」を峻別して、それを繰り返すことが必要です。つまり、アイデアを出すときには徹底的にアイデアを出すこと、そしてたくさん出てきたアイデアをまとめるときには徹底的にまとめていくという作業が必要です。

次に、問題点をまとめて、今後解決すべき(挑戦)課題として絞り込みます。そこから「考え方と推進力」を決定するのです。それがビジョンとなります。それを「的確な目標」に焼き直し、実現のための最適な打ち手を選択し戦略として策定します。ビジョンを追求する中で獲得できる「数値目標」とそれを達成するための「打ち手」を戦略として考えるということです。大事なことは、「わが社は何をよりどころとして、どこで活動していくのか、わが社が波に乗っていくためには現状と市場の形勢を考慮すると何を、どのように変革しなければならないのか」を明確にすることなのです。

現状の右下がりのライフサイクル曲線から脱却し、成長発展のための新しいライフサイクル曲線に乗り換えることで大きくわが社の運命を変えていくのです。現状の低迷状況を打破し、しかもメガトレンドに乗るようにわが社を大きく変革するための基本的な考え方や何を、どう変えるのかを示すことが必要です。ここでは社内のバランスを重視したり、全社員をすべて満足させるようなことは不可能である。

ビジョンで何を語るべきかという問題があります。少なくとも、次の3つの質問に答えられなければならない。1.達成すべき目標はなんなのか?2.どうすればそれを達成することができるのか?3.なぜそれが成功するといえるのか?

私はよく次のようにいいます。ビジョンは、三つの姿を重ね合わせることであると。一つは「ありたい姿」、二つには「あるべき姿」、三つには「できる姿」である。この三つを重ね合わせることができるまで考え抜くことが求められる。そして、それは現状との間に大きなギャップがあるものであり、そのギャップを埋めることの苦悩の日々が社長を経営者として、更に大きくしていくのである。

今ひとつ大事なことがあります。ビジョンは企業を成長発展させていくために、“時代の波”に乗せるための変革を行なっていくということですね。そうすると、市場の形勢が変化すれば、ビジョンも変えなければならないということです。つまり、ビジョンも環境変化に適応して進化していかなければなりません。しかし、現実問題ビジョンを換えるというのは大変難しいことなのです。大企業などでは、社長交代のときにビジョンを変えるということとやっているケースがあります。つまり、そういう時でないとなかなかビジョンを変えることができないということです。

ある経営書(プロダクトストラテジー/M.E.ダグラス/菅正雄他訳/日経BP社)に書いてありました。コンパックのビジョンの変化です。83年「最高のポータブルコンピューターをつくる」、88年「最先端、高性能技術をPCに組み込みベストであり続ける」、92年「攻撃的な価格設定とコスト削減によってPC及びサーバーにおけるリーダーシップ獲得に努力する」、96年「2000年までに世界のコンピューター市場においてトップ3になる。創業間もない企業から多国籍企業までをターゲットに、業界標準のソリューションを提供するグローバルりーダーになることで、この目標を達成する。PCの世界的リーダーになるときに用いた競争優位を更に強化し、トータルソリューションの提供、新しい戦略的市場や戦略商品への投資、コンパックブランドの宣伝・広報活動推進、強固なパートナーシップによって成功を勝ち取りたい」  
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2005年04月09日

§2−4 「だから何なの?」を語らなければ意味がない

abb39331.JPG第1講の現状認識を行なって、次に第2講の問題(点)の抽出へと、わが社の本質的な問題に切り込んでいこうというわけです。「問題の把握が的確であれば、問題解決の60%は解決できたものと同じである」といわれますが、まさにその通りです。プロジェクトを進めていく上で、私が一番困っているのは、まさにこの部分です。「問題の捉え方がが違うんじゃないでしょうか?」とたびたび言わなければなりません。そのために、最近流行りなのが“ロジカルシンキング”といわれるものです。これは要するに、「話の筋を通しなさい」ということです。

経営の問題解決を行なう場合は、多くの社員の協力が必要となります。そのときに、社員に納得してもらわなければなりません。納得してもらうためには、話の筋を通して、“物語のように”語ってくれると分かりやすくていいですね。そのためのテクニックとしてロジカルシンキングなるものが流行っているのです。2003年ごろは、書店にそのような本が4、5冊並んでいましたよ。

ある程度の人と時間をかけて情報を収集し、色々の現象を把握する。それを何らかのグループに分けて、「○○は、こういうことです」、「××はこういうことです」、「△△はこういうことです」・・・といわれても、「それがどうしたのですか?」、「だから何なんですか?」ということになります。当セミナーを読んでおられる社長さんも苦笑されているのではないでしょうか。こういうケースが大半ですね。グループ分けするまではいいのですが、そこから各グループの“意味合い”を引っ張り出して、語ってくれることが大事なのです。そして、その意味合いをもグループ分けして、再度組み立て直す。例えば、現状分析→判断→解決策へと筋を通し、最後に「結論」といけば、聞いてる方も「なるほど!」となるはずです。

多くの企業ではプレゼンテーションがうまくなっております。プロジェクトなどでは、プロジェクターを活用し、パワーポイントで発表するケースが増えております。色々の場面でチャートを活用することが多いのですが、私はよく「そのチャートで何をいいたいのですか?」と質問することがあります。実際に、それで何を聞いている人に言おうとしているのかがわからないからですが、多くの人の応えは「・・・・・?」なのですね。せっかくチャートまで作成するということは、何か意図があってやっているわけです。それをいって欲しいのですが。

多くの場合、結論が“一般論”になるケースがあります。例えば、「わが社は新たに○○技術の導入を積極的に図り、新商品の開発を行い新たな成長を図る」という表現はいかがでしょうか。この結論では、具体性がありませんね。
つまり、どこの企業でも通用するような結論になっております。これでは、社員が動くことができません。社員の行動につながらないということです。これを防ぐためには、「なぜ」と「だから何なの」を繰り返すことです。トヨタのすごさは、すべての人が現場で「なぜ」を5回繰り返すことを当たり前に行なっているからだと説明している経営書がありましたが、「なるほど」と思います。

なお、結論を最初に述べるのがいいのか、最後にするのがいいのかは、その場の情勢によるとしかいえません。聞く方の人が、予想もしないような結論を伝える場合には、理由を順を追って説明し、最後に結論を出す方がいいと思います。





  
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2005年04月05日

参考図4 

312805a6.JPGPPM(プロダクト・ポートフォリオ・マネジメント)  
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§2−3 成長発展に不可欠な二つの経営と二つの戦略

ff8d4dfe.JPG前回に企業が中長期的に成長・発展するためには、二つの経営が必要であることを述べました。つまり、「きっちりと利益を確保する経営」と「将来の発展のための方向づけをする経営」の二つです。全社を戦術経営といい、後者を戦略経営といえばいいでしょう。ここでお分かりのように、戦術と戦略は違いことですね。戦術の足し算が戦略になるということがかかれていたりしますが、これは違います。戦術はあくまで短期のための打ち手です。一方、戦略は、中長期のための打ち手です。こういう言い方が適切がどうかはわかりませんが、
私はよく「今できることをきちっとやることが戦術で、今はできないができるようにすることが戦略です」といっております。

整理しておきましょう。戦術的マネジメントとは、短期的な結果に力点を置き、決められた道をよりよく走るということです。戦略的マネジメントとは、中長期的に進むべき方向を決める、という意思決定に力点が置かれているものです。異質な二つの経営をひとりが背負うと悪貨が良貨を駆逐することになります。つまり、日常のオペレーションに埋没して、戦略不在になってしまうのです。これを解決する方法としては、二つ考えられます。一つは、時間軸をずらせて行なうという方法です。つまり、ある時期に、徹底して戦略にエネルギーをかけるという方法です。今ひとつは、役割分担を行なうものです。

現在のような構造的変化の中では、役割分担を行なって戦術マネジメントと戦略マネジメントを常に並行して経営を推進する必要があります。役割分担で云えば、戦略マネジメントは、トップマネジメントが果たさなければなりません。そして、戦術マネジメントは、部門長にやってもらうというのが定石です。中規模企業の現実は、今中規模企業に求められている重要な戦略マネジメントを誰もやっていないことが多いですね。

さて、戦略の定義をしなければなりませんが、その前に売上高30億前後の中規模企業の抱えている大きな問題として、二つあります。一つは、中規模企業の多くが単一事業であり、その事業がライフサイクルから言えば、成熟・衰退期にあることです。つまり、この単一事業で中長期的な成長・発展を遂行していくことはきわめて難しいので、どうすれば中長期的な成長・発展が可能か?という課題です。今ひとつは、成熟・衰退期にある事業で持続的競争優位を確保することは、どのようにすれば可能なのかという課題です。

前者の問題で云えば、単一事業で中長期的に成長・発展していくということはきわめて難しい課題です。そもそも中規模企業が対象としている市場は、大企業が対象としている市場とは比べ物にならないほど狭い市場ですね。その上に、ライフサイクルそのものが非常に短くなっているために、どうしてもこの問題を抱えることとなります。そこで、新規事業をやらざるをえないということになります。つまり、中長期的な成長・発展を目指すならば、やはり複数の事業をおこない、それぞれに全社最適のための事業ミッションを定め、そのミッションにしたがって、なけなしの経営資源の最適配分をおこなっていかなければなりません。これを「企業戦略」といいます。

企業戦略については、ボストン・コンサルテイング・グループが考案した有名なプロダクト・ポートフォリオ・マネジメントというのがありますね。縦軸に事業の魅力度(例えば、事業の成長率)をとり、横軸には、相対的な競争力
(相対的マーケットシェア)をとって事業を位置づけることによって、キャッシュフローの最適化をはかるものです。色々と弱点があるとか云われておりますが、難しいことは別にして、複数の事業を全社的・客観的に見つめる場合非常に役に立つフレームワークだと思います。

後者の場合は、成熟・衰退期にある事業、つまり差別化が極めて難しく、唯一の差別化が“価格”しかないが、価格競争は自分の首を絞めることになることをわかっていながらやらざるを得ない中で、持続的な競争優位をどのようにして構築すればいいのだろうか?というのが「事業戦略(=競争戦略)」といわれるものです。

経営において“戦略”といえるのは、上の“企業戦略”と“事業戦略”の二つです。それ以外に戦略と名づけられるものはないと思います。開発戦略、マ−ケテイング戦略、営業戦略、販売戦略、販促戦略、・・・戦略と何でもかんでも戦略という文字をつけるのが流行っておりますが、それらはほとんどの場合、事業戦略のなかの一部の打ち手のことです。従って、ある事業戦略があって、その中の具体的な打ち手としてマ−ケテイングはどうするのか、4P(製品、価格、販促、流通)はどうするのか、人的販売はどうするのか、という対策があるわけです。なんでもかんでも戦略をつけるのはやめましょうね。

ここで戦略を定義すれば、企業戦略とは、企業のビジョン(将来の目指す姿)を実現するための方法論ということになります。一方、事業戦略は、持続的競争優位を確保するための方法論ということになります。ただし、事業についても事業ビジョンを考えるなら、戦略とはビジョンを実現するための方法論であると、一つに定義できます。やはり、経営を考えていく上では、二つをきっちりと分けて定義することがわかりやすいですね。  
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2005年03月29日

§2−2 戦略経営とは何か

05e0dc24.JPG§戦略経営とは何か

閉塞状況にある売上高30億前後の企業に共通していることは、先に述べた「戦術の罠にはまっている」ということです。企業が成長・発展していくためには、二つの経営をうまくやっていかなければなりません。一つは、戦術的な経営といわれるものです。これは、結果(業績)に力点を置き、「決められた道をよりよく走ろう」という経営です。具体的には、年度経営計画を作成し、そのPDCAサイクル(プラン⇒ドウ⇒チェック⇒アクション)を的確に回して、目標を必達していく経営です。

今ひとつは、戦略的な経営といわれるものです。これは、意思決定に力点を置き、「進むべき方向」を決める経営です。具体的には、中長期のビジョンを構築し、ビジョンを実現するための戦略を策定し、その大きなPDCAサイクルを回していこうというものです。

多くの30億前後の中規模企業は、“戦術的経営”はしっかりと行なっているのですが、“戦略的経営”の方が忘れられているということなのですね。つまり、戦略不在の状況にあるのです。「木を見て森を見ない」ということが云われますが、丁度企業の経営がそういう状態にあるということです。「われわれは一生懸命に走っておりますが、残念ながらどこへ行くかは不明です」という経営です。つまり、戦略経営を行なっていない企業とは、年度経営計画だけで短期の業績に力点を置いて経営を進めている企業ということです。

二つの経営をバランスよく行なっていくことで、企業の成長・発展が実現できるのです。企業が今どういう状態にあるのか、を認識しながら二つの経営の強弱を考えながら経営することが必要なのです。事業の構造改革が「現状認識」からスタートするということは、いまどちらの経営がより重要なのかを判断しなければならないからなのです。今は戦術にもっと力点を置くべきなのか、戦略に力点を置くべきなのか。戦術の中に戦略があり、戦略の中に戦術があるといった方が現実の姿をうまく表現していることになるでしょう。

このように企業の成長・発展を目指して、“鳥の眼”と“蟻の眼”の両方で経営を行なうことを「戦略経営」といいます。戦略経営を推進していくためには五つの機能が必要となってきます。1.ロマンと理念、2.ビジョン、3.戦略、4.管理システム、5.業務活動の五つですね。この五つを常に念頭に置きながら、五つの機能が有機的に働いているような経営を目指せば、中長期的に成長・発展が可能になると考えるわけです。

売上高30億前後の企業を見てみますと、上記の五つの機能のうち4と5だけで経営を行なってきたというのが本当の姿です。成長期は、市場全体が成長しているために、どの企業も拡大できたわけで、そのようなときには4と5だけでやっていけたということです。しかし、企業を取り巻く環境は、全く違った風景になってしまいました。そのような中で企業を経営するとうことは、五つの機能のうちで、1と2と3がしっかりしていなければやっていけないということになるのです。

歴史的な構造変化の中では、原点に戻ることが秘策となります。つまり、「なぜ事業を営むのか?」⇔「なぜなら(企業目的)」⇔「どんな事業なら目的を実現できるのか?」⇔「どれを事業として選べば最適なのか?」を問い続けることが秘策となるということです。ちょっと青臭い話ですが、私の18年間の体験から出てきたものです。これって、皆さんが想像している以上に経営にとって大事なことなのです。特に、理念が最終的に利益につながることを、3月31日発行のメルマガでふれておりますので、是非読んでみてください。  
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2005年03月22日

第2講 わが社の何が問題なのか

2541fe90.JPG§2−1 現象の奥に潜む本質とは
現状認識では、PLやBSを分析して、売上高や利益の推移が右下がりであることを示したり、もう一歩進めて生産性として一人当たりの売上高や粗利額がより急カーブで右下がりになっていることを示すことがあります。更に、固定費生産性が右下がりになっていることを主張するものもあります。いずれにしてもこれらは数値として示される“現象”に過ぎません。問題は、なぜこのような数値になってしまったのかということなのですね。氷山で言えば、海面から上の話です。海面から下には、もっと大きな部分が隠れています。この隠れた部分にメスを入れることが企業改革のスタートとなります。なぜなら、そこにこそ問題の本質が隠れているからです。問題の本質を叩かない限り、“モグラ叩き”を繰り返すだけです。それを今まで何度も繰り返してきたのですが、一向に改善されないことは自ら証明しておりますよね。

今まで得体の知れない大きな壁を乗り越えるために、一生懸命やってきたことを見つめてみましょう。企業の業績を見る場合、二つの視点から見ることが重要です。成長性と収益性です。ある企業X社の例で言えば、市場が着実に縮小する中で、売上高は着実に右下がりを続け、営業利益は売上以上の傾きで激減している。そのような状態が5年以上続く中で、社長は何をしているのかということです。天井と壁がジリジリト狭くなる空間で、必死に何をやっているのかというと、相変わらず「もっと頑張って売らないとだめだ!」、「もっとコストダウンをしないとだめだ!」とやっているのですね。その結果が、やはり狭くなる空間で同じことを繰り返しているということです。これを「バックミラーの経営」といいます。前方を見ることなく、常に過去を示すバックミラーをだけ見ての経営です。

トム・ピーターズの「起死回生」の中に面白い文章があります。「ガス灯を電灯にすれば儲かるとある起業家が目をつけた1880年頃、まさに新しい時代が幕を明けようとしていた。ガス灯で市場を独占していたメーカーは、永い眠りから覚めてその重い腰を上げた。それで電灯を作り始めたか・・?」その落ちは、「もっとよいガス灯をつくり始めた」というものです。つまり、“骨董品に磨きをかける”ことをするのですね。X社の社長は、まさに骨董品に磨きをかけているのではないでしょうか。

実は、求めるべきものはこの空間の外にあるのです。だから、ドンドン狭くなる空間で頑張るのではなく、X社の社長がやらねばならないことは、この空間の外に脱出することです。私は、この空間で何とかしようと頑張ることをを“戦術のワナ”といい、この空間から脱出することを“戦略転換”といっております。戦術のワナとは、「現在の商売の仕方は正しいのだ。問題は営業や製造のやり方が手ぬるいのだ」という考えです。戦略転換とは、「現在の商売のやり方では変化してしまった市場で効果は出ない。だから、商売のやり方を変えなければならない」という考え方です。もう少し専門的に云うならば、“利益の質”が極端に悪化しているということです。良質の利益が確保できるように商売のやり方を変革することが必要なのです。それは、市場(=顧客)があなたの企業に求めていることなのです。

氷山の理屈で言えば、海面の上にある売上や利益がドンドン右下がりになるのは、海面にある1.社長のリーダーシップの欠如(そもそも社長の仕事は何だったのか)、2.戦略の欠如(今必要な発想の転換とは何か)、3.経済合理性の欠如(そうはいっても、というのがまかり通る)という本質にいたるのです。そこにメスを入れない限り、戦術のワナに落ち込んでいては、何らの解決にならないのです。  
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